「新聞社から契約を打ち切られた。今後どこで働くことになるか分からない」
9月の上旬、ウラジオストクの記者Ｓさんから突然こんなメールが届いた。
弊社ではロシア極東の経済情報を配信しており、ウラジオストクの記者に協力してもらうことが多い。なかには大手新聞社や通信社と契約しているベテラン記者もおり、彼らの行動力や人脈にはいつも助けられる。
Ｓさんは某有名新聞社の契約記者としてウラジオストクの支局で働いていた。しかし今年8月に突然、この新聞社がウラジオストクからの撤退を決め、Sさんは職を失った。新聞社からは「ウラジオストクに支局を出していても将来性がない」と説明されたらしい。
しかしすぐ次の日にSさんから再びメールがあった。「港の広報部に就職が決まった」と言う。すぐに再就職が決まったことはなによりだ。しかし「専属の広報担当になれば、今までのように手伝ってはもらえないだろう」と残念な気もした。
それからさらに一ヶ月。Sさんは現在、撤退を決めたはずのもとの新聞社で働いている。理由は分からないが上層部の意見が食い違い、撤退に関する決定が取り消されたらしい。
新聞社の度重なる方向転換にも驚くが、なにより脱帽させられるのはSさんの行動の早さだ。職を失った次の日には再就職先が決まっている。と思えば、もとの職場に戻る動きも早い。「実力と人脈を持った人間は必ず行き場を見つける」−そんなサバイバルの原理を見た気がする。
2009/10/27 JSN 尾松 亮
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2009年10月27日掲載の記事を転載したものです。
