JSNトップページ > ロシアな日々 > ウラジオ短信

ウラジオ短信

ウラジオストク国際空港 手荷物検査ポイントにて

「ほら、違うわよ。ベルトはずしなさいって言ってるの。もう、何やってんのあんたは!」

ウラジオストク国際空港の手荷物検査ポイント。係員のロシア人女性は、出国者に対して容赦なくロシア語でまくし立てる。これはロシアの空港ではよく見る光景だ。

この検査ポイントでは手荷物を渡すだけでなく、ベルトをはずし、靴も脱いで検査にかけなければならない。「ほら何度言わせるのよ!レーメニ・スニマーエム!レーメニ・スニマーエム(ベルトははずしましょう)!」

旅行者皆がロシア語を理解するわけではない。案の定、私の後ろにいた日本人旅行者達は何を言われているのかわからず戸惑っていた。それでも係員の女性は身振り手振りを交えてロシア語で繰り返すばかり。一度などはあまりに伝わらないためにいらだった係員が、男性のベルトに手をかけて教えようとする場面すらあった。ロシア人にとっては何てことないジェスチャーなのだが、やられた男性の方はさすがにびくっとしていた。

僕は見かねてしばらくの間、係員の横で通訳をしていた。「日本人の旅客が多いことは分かっているなら少しくらい日本語覚えた方がいいんじゃないですか?」僕がそう言うと、「日本語?何で私が?」と返ってきた。

心配しながらも離れてみていると、係員は相変わらず「レーメニ・スニマーエム」を繰り返している。それでも何やかんややっているうちに伝わってしまうのだ。

ちなみに「スニマーエム(脱ぐ・はずす)」は一人称複数形。Let us「さあ〜しましょう」のニュアンスに近い。

2009/03/17 JSN 尾松 亮

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2009年3月17日掲載の記事を転載したものです。

<<ウラジオ短信一覧へ戻る



page top