先月末、新潟港とボストーチヌイ港(沿海地方のナホトカ近郊)を結ぶコンテナ航路が、9月から再開されるというニュースが入った。この航路は、貨物量減少のため1997年にいったん休止していた。実に11年ぶりの再開である。航路復活の背景には、好況に沸くロシア経済や、日本企業の相次ぐロシア進出(主にモスクワ等の大都 市)による貨物輸送需要増加の期待があるとされている。
ほぼ時を同じくして、既にロシアのサンクトペテルブルグに進出し、組立工場を持つトヨタ自動車が来年度、日本から現地への部品調達にシベリア鉄道の利用を始めるとの報道があった。新潟―ナホトカ航路も、ボストーチヌイ港まで貨物を運んだ後は、シベリア鉄道に荷を積み替えることで、大消費地であるモスクワなどへの輸送が 可能になる。
現在、モスクワなどのロシア欧州部に日本からコンテナを運ぶ場合、ヨーロッパの海岸沿いを船舶で回っていくルートが主流だが、輸送期間が約60日と長い。それに比べ、極東の港までは船舶、その後シベリア鉄道を使うというルートでは、数十日も短縮できる可能性がある。弊社は貿易業務も行っているため、これらのニュースには荷主の立場から接している。新潟港からのロシア向けコンテナ輸送サービスは少ないため、送る手段が一つでも増えることは大変ありがたい。
新潟港からモスクワなど大消費地に直接つながるということは、県産品の対ロシア輸出を考える上で、とても大きな可能性と魅力を持つ。航路復活が引き金となり、新潟−ロシア間の物流がさらに活発化することを望んでいる。
2008/07/08 JSN 黒須 将道
※この記事は、新潟日報紙の「北東アジア便り」2008年7月8日掲載の記事を転載したものです。