ウラジオストク郊外にある学校近くの信号機が故障し、子どもが自動車を恐れ、道路を横断できないという事態になった。信号機はウラジオストク市内と空港を結ぶ幹線道路上にあることから、ドライバーはスピードを出しやすい。横断標識や白線近くに子どもがいても速度を緩めるドライバーはまれで、横断には教師など大人が付き添っているという。
市内では、歩道橋や地下歩道は所々にあるが、歩行者用信号機を備えた歩道が非常に少ない。横断歩道は白線と標識だけのものが大部分だ。歩行者が非常に多い場所でも信号がない横断歩道があり、また、通常そうした道路は自動車の交通量も多いため、白線が消えかかっていて見えにくい。ドライバーが標識に気付き、車を止めたことを確認して初めて、安心して横断することができるという状態だ。昨年、交通事故が頻発する地区で道路を封鎖したアピール行動が起きるなど、住民の間では道路交通事情の改善を求める意識が高い。一方、先週ウラジオストク市長に就任したプシカリョフ氏は、最重要課題のうちの1つとして、道路をはじめとした交通インフラの整備改善を掲げるなど、自治体側でも交通状況の改善へ積極的な姿勢が見られる。
2012年のAPEC首脳会議開催や、極東地域の長期発展に関する国家的プログラムなどで、ウラジオストクには今後数年のうちに膨大な国家予算が投資される。この機運をつかみ、道路交通事情の改善に重点的な投資がなされ、歩行者のみならずドライバーも安心して安全に通行できる環境が実現することを願っている。
2008/05/27 JSN 黒須 将道
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2008年5月27日掲載の記事を転載したものです。