ロシアでは、全国規模でガソリンの値上がり傾向が続いている。昨年1年間で小売価格が約9%、今年は4月までに既に約5%も上昇している。
ウラジオストクは値上がりの度合いが全国水準よりも大きく、レギュラーガソリンの小売価格は、4月中旬現在で1リットル当たり約115円。今年1月の水準と比べると、10%以上も上昇したことになる。
半月ほど前、ウラジオストクの石油卸売会社がガソリン卸売価格の値上げを発表した。世界的な石油取引価格や、国内輸送費の上昇傾向が続いているための、やむを得ない策なのだが、市内のガソリンスタンドでの小売価格は翌日から一気に5―7%も上昇した。
卸売会社が値上げを発表してから数日後、何十台もの自動車が群れをなし、ヘッドライトを点灯し、クラクションを鳴らしながらウラジオストク市内の道路を走行するという出来事が起きた。メディアは「これは有志の一般ドライバーたちによる値上げに対するデモである」と報じた。参加者の一人は「今日は単なる始まりにすぎない。自分たちの目的(値下げ)を達成させるためには、さらに強硬な手段も考えている」と語った。
ロシアでは4月から、余暇に車で出掛けたり、農業などの産業用に使われたりと、あらゆる方面で石油燃料への需要が急に増える。「よりによってこの時期に値上げをするとは」と思った人々は少なくなく、長く続く全国的な値上がり傾向でたまっていた不満が、今回の値上げ発表を引き金に爆発したという印象だ。
今月下旬には、数百人に及ぶ規模のデモが予定されている。消費者に加え、運送業者や政治団体関係者も参加を表明しているなど、社会のより広い範囲で関心が高まってきている。
2008/04/22 JSN 黒須 将道
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2008年4月22日掲載の記事を転載したものです。