最近、穀物や野菜、肉類、乳製品など、あらゆる食料品の価格がロシア全地域で上昇しているという報道が、さまざまなメディアで頻繁に伝えられている。ロシア統計局の食料品価格全体を表す指標を見ると、今年1月から8月にかけて12,4%も上昇している。
プーチン大統領は今月初め、食料品価格の上昇に懸念を示す声明を発表し、ズプコフ首相もほどなく、各省庁と地方自治体に物価上昇を抑制する措置を取るよう指示した。それを受けて沿海地方でも16日、ダリキン知事が関係者と会合を開き、今後講じるべき措置について話し合った。地方によっては既に、自治体と業者間で価格抑制のための協定を結んだところもある。
自分も仕事を離れれば、ウラジオストクに住む1人の消費者だ。ほとんど毎日食料品を買う。7月初旬に暮らし始めてから3カ月ほどしかたっていないが、物価の上昇は大いに実感する。ジャガイモや卵は、来たころに比べると1、2割は確実に高くなった。シベリアに住むロシア人の親類に聞いてみると、同地でも食品価格はおしなべて上昇しており、特に、主食であるパンの値上がりが目に付くという。
そうした中、プーチン大統領と国民が直接対話する番組が18日、生放送された。食料品価格上昇に関する質問もなされ、大統領は、穀物の輸出関税を引き上げ、乳製品など基本的な食品の輸入関税を引き下げることなどで、価格安定を図ると答えた。
現在、ウラジオの商店では卵10個が約200円、牛乳1リットル約180円である。市民の平均月収が約4万5000円と伝えられていることを考えると、これ以上の価格上昇は市民の生活をさらに窮迫させる。大統領が示した対策が、一日でも早く市民の目に見える形となって表れることを望んでいる。
2007/10/22 JSN 黒須 将道
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2007年10月22日掲載の記事を転載したものです。