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ウラジオ短信

贈り物とユーモアが好き

今月、JSNのウラジオストク事務所に赴任した。市の中心部に位置し、交通の便がいい。街を歩けば人と車の往来で騒がしいが、上向く景気を裏付けるように活気が感じられて心地よい。ロシアには計2年半の滞在経験があるが、ウラジオは1年ほど前、約1週間の研修に訪れて以来。今は、見聞きする物事すべてに意識して接し、体に刻み込んでいくようにしている。

そんな中、ロシア人の同僚と立ち寄り、印象に残った店がある。店の名は「LEFUTUR」。一見ブティックと見まごうような雰囲気だが、それが「売り」ではない。この店の一番の特徴は、陳列されているすべての商品が「奇抜さとユーモア」を備えていることなのだ。モダンなデザインのラジオ内蔵トースターがあったり、果ては日本のからくり人形まであったりする。

今まで自分が見てきたロシアの中でも、こんな類の店は初めて。「一体どんなロシア人が買うのだろうか? 価格も高いのに…(ラジオ内蔵トースターは約2万円)」。疑問に思ったので、同僚にぶつけてみた。「まず、自分のためには買わないわね。実用的でないから。あくまで誰かへのプレゼントとして買うのよ。冗談≠ニしてね」。同僚は、笑いながら教えてくれた。

なるほど、ロシアには、何か事有るごとにプレゼントを贈り合う習慣がある。家族や友人の記念日を大切にするからだ。また、アネクドート(ユーモアを効かせた小話)、冗談やユーモアを好む人々でもある。

LEFUTURは、ロシアの主要都市のほとんどに店舗を構えている。ウラジオの支店も営業開始から既に数年経っているという。商品が売れなければ存続できないのだから、それだけ認知され、愛顧されているのだろう。
これからも、人々の生活に溶け込みながら、変わり行くロシアの新たな一面を見つけていきたいと思う。

2007/07/12 JSN 黒須 将道

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2007年7月17日掲載の記事を転載したものです。

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