今に始まったことではないが、ロシアでは寿司など日本食が人気である。新潟空港でも、寿司をお土産に持って帰るロシア人が多く見受けられるようになった。新潟からわずか一時間半、その日のうちにロシアに着いてしまうので、問題なく持って帰られるようだ。寿司以外でも、イチゴやショートケーキを買って帰る人がいるのも面白い。
もちろん、ウラジオストクでも日本料理店で寿司は食べられる。ただ、新鮮な素材を常に仕入れことは難しいので、自ずと限界がある。米にしても、日本産の米はわずかに輸入されているだけで、中国産やロシア国産の米を寿司に合うようにうまく炊き上げるのは簡単ではないのだろう。だからこそ、日本で握った“本物”の寿司はお土産として喜ばれるように思う。
最近ではプラスチックのトレーに入った握り寿司が、市内のスーパーなどで売られている。私も食べてみたが、外国で作られた寿司ということと、マグロや白身魚など5貫入りで約600円という値段を考えれば、十分満足できる味だった。握りだけでなく、ローリクと呼ばれる巻き寿司も良く見かけるし、これを売りにしたカフェもある。巻き寿司であれば、現地で調達できる素材を生かせば、ある程度のものは作られるので、個人的には、ロシア風の独特な寿司−たとえば“キャビア・ロール”とか−が生まれれば楽しいなと思う。挙句の果てには、宅配寿司の専門店もできたらしい。これらを“寿司ブーム”と呼ぶのは大げさな気もするが、日本食が一般の人にも広まり、一過性の人気で終わらないことを願いたいものである。
2006/07/20 JSN 浜野 剛
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2006年7月25日の記事を転載したものです。