2005年度の財務省の貿易統計では、日本からロシアへの中古車輸出台数は前年比123.7%増の26万9000台。金額にして100億ドル超えた。また同年、県内の港からロシアへ正規輸出された中古 乗用車台数(7−12月)は2万9000台。船員の携帯品扱いを入れると、昨年1年間に約5万台強の中 古車がロシアへ出ているようである。
先日、ウラジオの中古車販売会社を訪問し、販売システムがここまで進んでいたのかと驚かされた。
その会社から日本の中古車オークションに参加でき、お客が実際に落札ボタンを持って欲しい車を買っていた。決済は日本にある系列会社がやり、日本からの輸出手続、ウラジオまでの一貫輸送および輸入通関までフルにサービスを提供している。ロシアの輸入関税もパソコンに車の年式と金額を入力すれば瞬時に出てくる。お客はボタンさえ押せば日本にいるかのように、数日後には車を手に入れることができる。
この会社の経営者は「オークション会場は京浜地方に多いが、そこから日本海側のどの港へどのようなルートで運ぶのが距離的に近いか」と、私に相談してきた。競争に勝つために少しでもコストダウンを考えているとのこと。
インターネットのオークションの欠点は、実際に車がウラジオに着くまで車の状態がわからないことだ。
そのためバイヤーが日本へ行っていい車を探して持ってくる方法は無くならいと、この会社の社長は言う。
ある日本の中古輸出業者は、ロシア企業が日本へ進出してロジスティック(物流)をすべてやるようになったため、数パーセントの販売手数料のみの商売となっている。これからは、日本側がウラジオへ進出していかないと、中古車ビジネスはロシア企業のビジネスになると危機感を募らせている。
2006/05/28 JSN 田代雅章
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2006年5月30日の記事を転載したものです。