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ウラジオで大規模火災、多くの犠牲者

1月16日正午ごろ、ウラジオストクの9階建てオフィスビルで大規模な火災が発生し、9人が死亡、27人がけがをする惨事となった。火災が起きたのは、市中心部のオフィスビルで、7、8、9階の約1200uが延焼し、約2時間後に火が消し止められた。火災原因は明らかになっていないが、後の調査で、いくつかの要因が重なって多くの犠牲者を出す惨劇となったことが伝えられている。

まず指摘されたのは、防火体制の不備である。火災現場となったオフィスビルは、人の出入りが多いにもかかわらず、スプリンクラーなどの防火設備はなく、消火器もきちんと配置されていなかった。

また、建物の正面部分に何台もの車が違法駐車されていたため、はしご車が近くまでつけられず、救出作業が迅速に行えなかった。この結果、犠牲となった9人のうち数人は、炎や煙から逃れるため、やむなく窓から飛び降りたことが原因で命を落としたという。

行政当局はこの事件を重く受け止めているようで、火災のすぐ翌日から、市内の全家屋、建物の防災点検を一斉に実施した。弊社のウラジオストク事務所がある建物でも、市の職員が訪れ、早急に消火器の購入するよう指導したという。ちなみに、ウラジオストクのオフィスビルや集合住宅は、ほとんどが5階以上で、中には20階近い高層建造物もあるが、沿海地方には12階以上の建物に対応したはしご車が一台もないという。僭越ではあるが、火災で命を落とした方のためにも、悲劇の原因を究明し、しっかりとした対策が施されることを願いたい。

 

2006/01/18 JSN 浜野 剛

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2006年1月20日の記事を転載したものです。

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