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ウラジオ短信

極東の野暮ったさに染まる

先日、初めて首都モスクワを訪問する機会を得た。
在新潟ロシア総領事館に勤務されていたドゥルノピアノフ氏(新潟市名誉市民)にモスクワを見なければ、「ロシアを本当に知ることにならない」と、常々言われ重い腰をあげた。

モスクワについては述べるまでもなく、ロシアの歴史の重さと深さを感じられる街で人々は洗練されていた。しかし、私の中のロシアはウラジオであり、あの極東の「野暮ったさ」がどっぷり体に染みこんでおり、モスクワを歩いていてもウラジオの街並みや知人の顔が浮かび、何かにつけて対比していた。

モスクワでは、何故か男女ともスレンダーな人が多く太った人を見かけない。極東に良くいるあの太った(逞しい)ロシアのお母ちゃんが少ない。女性のファッションはウラジオの方が派手でモスクワの女性はシックな装い。しかし、女性はウラジオの方が美人が多い?いや化粧が派手なのか?モスクワは、極東のように黒い革ジャンに短髪の怖そうなお兄さん風情が少なく、威圧感はない。モスクワボーイは洗練されており迫力に欠けるかな。

品物についてはヨーロッパ製品が多く、日本の製品を見かけるのは難しい。極東ではメイドインジャパンや日本人というのがブランドであるが、ここでは通用しない。私たちはアジア人というカテゴリーとなる。ウラジオでは観光地やお土産店で聞く言語は圧倒的に中国語、モスクワは聞きなれないフランス、イタリア、ドイツなどヨーロッパ言語となる。

むかし日本商社マンが「ソ連時代のビジネスは良かった」と懐かしむのを聞いて、時代が変わったんだと吐き捨てていた自分が、「ルースキーは極東にしかいない」と思っている。そろそろ私のロシア観も化石化してきている。

2002/10/07 JSN 田代雅章

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2002年10月掲載の記事を転載したものです。

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