ロシアのオウム真理教元信者による麻原被告の奪還テロ計画裁判の判決が1月23日、沿海地方裁判所で言い渡された。
主犯格のドミトリー・シガチョフ被告(24)には、懲役8年。また、トゥペイコ被告は懲役6年6ヶ月、ボロノフ被告には懲役4年6ヶ月。関与の薄かった他の2人は実刑を免れた。この裁判、テロ未遂で終わったこともありロシアでも大きな事件として扱われなかった。
私はこの判決を傍聴する機会を得たが、この事件の問題もさることながら日本との裁判の違いに驚いた。
先ず、被告人の人権がまったくといってない。マスコミは公判の最初から最後まで自由に撮影が許され、被告人は判決が出る前から自由に顔をマスコミを通して紹介されてしまう。
また、裁判が始まったのが昨年の12月5日、それからほとんど毎日裁判が開かれた。判決までの実質審理は14日間という超スピードの裁判である。
最後にぎょうてんしたのは、判決後、裁判長が「被告に質問はありませんか」と言うと、マスコミはいっせいに主犯格のシガチョフ被告に質問を浴びせたことである。
このとき、シガチョフ被告が日本のマスコミに向かって日本語で言った一言、「グルはグル、私のグルは尊師(麻原影晃被告)」が、今でも深く私の心に残っている。
2002/02/25 JSN 田代雅章
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2002年02月掲載の記事を転載したものです。