「極東の中心都市は、ウラジオストクか?ハバロフスクか?」
先日、ハバを訪れた際、何度かこの論争で盛り上がった。私が世間話をしたハバ市民は例外なく、「極東の中心都市はハバ!」と自信をもって言い切った。ハバは政治が安定し、街並みも整備され、経済も順調に発展している。何よりも彼らにとって心強いのは、連邦極東管区の大統領全権代表機関がハバに置かれたこと。大統領の権力の象徴がハバにあるのだから、ウラジオ市民にこの論争で負けるはずはないのだ。
そこで私が意地悪く、「確かにハバは政治の中心だけど、ウラジオは港町で活気があるし、来年APECの会議もある。経済の中心はやっぱりウラジオだね」と返すと、反応が面白い。ほとんどの人がハバの方が優れていることをあらゆる方面から熱心に説明してくれた。
この種の会話はともすると当事者のみならず第三者まで不愉快にさせることがある。確かに相手を皮肉ってはいても、彼らの話口調は嫌味を感じさせないのが不思議だった。
あるハバの女性がこう話していた。「ハバには、電気も暖房もあるし、ドライバーは道路規則をちゃんと守っている。ウラジオなんかより文化的なんだから」と。あるハバ市民のウラジオに対するイメージを端的に表す一言である。
2001/11/22 JSN 浜野 剛
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2001年11月掲載の記事を転載したものです。