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100年を迎えるシベリア鉄道

7月9日、シベリア鉄道全線開通100周年を記念する特別列車が、モスクワ・ヤロスラブリ駅を出発した。元鉄道職員、記者、作家、そして、鉄道ファンらを乗せた特別列車は、ロシア各地の停車駅で熱烈な歓迎を受けながら、終点ウラジオストクを目指している。

1901年の帝政ロシア最後の皇帝ニコライ二世の開通宣言以降、シベリア鉄道は文字通りロシアの大動脈として機能してきた。開通当時、航路で50日も要していた日本と欧州との所要時間が、シベリア鉄道を使えば10〜15日と飛躍的に短縮され、多くの志高き若者が欧州に向けウラジオを旅立った。便利になった今でも何かしら特別な感情を抱くのか、飛行機ではなく、シベリア鉄道を選ぶ日本人は少なくない。ましてや、ロシア人にとって、シベリア鉄道は、東西を結ぶ単なる鉄道でないことは、特別列車への各地の歓迎ぶりを見れば容易に想像できる。

過酷な自然条件のもと、このような大プロジェクトが、20世紀初頭という比較的早い時期に実現した背景には、当時海上交通を支配していた大英帝国に陸路で対抗するというロシアの政治的・軍事的見地があったという。100周年を迎えた今年、京義線とシベリア鉄道の連結、また、サハリンと大陸をトンネルまたは橋で結び、北海道へと続く鉄道を建設するという壮大な構想が具体化しようとしている。いずれも、アジア・欧州間の海上輸送貨物の獲得がねらいである。シベリア鉄道がかつての存在感を取り戻せば、ロシアの経済発展を支える存在に返り咲くことも可能であるように思われる。

2001/07/16 JSN 浜野 剛

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2001年07月掲載の記事を転載したものです。

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