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政権の浸透度が知事選を左右

空港とウラジオストク市内を結ぶ幹線道路沿いの至る所に、水色の巨大な看板が建てられた。27日の投票日まで、空港を利用する人なら誰しも、「沿海地方知事選挙 ○○候補 大統領支援」という看板を否応なく目にする。現大統領がほぼ絶対的な権力基盤を確立しつつあるロシアで、「大統領支援」というフレーズは、国民にとってどんな宣伝文句よりも効果的なはず。挙句の果てには、事実上大統領と関係をもたない別の候補が、新聞紙上での選挙広告に「沿海地方住民は自分たちのプーチンを待望している」との表題をつけ、自身を現大統領になぞらえる始末。「虎の威を借る狐」とはまさにこのことであろう。

しかしながら、今月上旬に実施されたある世論調査は、大統領支援を全面に押し出したこの選挙戦略が、沿海地方では効果的でないことを示した。前述の両候補の支持率はそれぞれ5.6%、3.5%と当選圏に程遠い。大統領系候補陣営は予想外の苦戦に焦りの色を隠せない。水色の看板は市中心部にも出現し始めている。

就任から1年、すでに強固な権力基盤を構築したかにみえるプーチン政権だが、依然として、垂直的権力構造の強化、集権化に努めている。同政権にとって、反政府勢力が比較的強いといわれる沿海地方の知事に、息のかかった人物を据えたいというのが本音であろう。国民全体の関心度も高く、中央紙でも連日、知事選に関する記事が一面に掲載されている。今回の選挙の結果を、現政権の地方への浸透度を測る「ものさし」として注目してみるのも興味深いように思われる。

2001/06/08 JSN 浜野 剛

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2001年06月掲載の記事を転載したものです。

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