最近、ロシア人の間でロシア正教の信仰が復活し、教会や修道院が次々と再建されている。
ソ連社会では、政府によって教会と宗教が否定され、信者は名門大学に入れず、出世することもできなかった。しかしペレストロイカとともに正教は社会的に復活した。
ウラジオから郊外へ15km、風光明媚なセダンカ鉄道駅地区に、女子修道院がある。ここには1901年からカムチャツカ・沿海地方第一主教区の教会が置かれていた。しかし沿海地方にソビエト政権が入ってくると、教会は1924年に閉鎖、ドーム屋根や十字架は撤去、建物は一部破壊された。6年前にやっと、地元行政と一般市民の協力で施設が修復され、女子修道院と教会が開設されたのである。
現在、修道院では17人のシスター(22〜79歳)が生活している。彼女たちが修道女を志した理由はさまざまだ。けれども、神に仕え、祈りと助言によって教会に来る人々を救済しようという思いは共通である。
シスターたちは、修道院の仕事のほかに、貧困者やホームレスの人々に食事を与え、無償でウラジオ市の病院で重病人たちの世話をしている。院長のシスター・マリアは言う。「今日、修道院は、めまぐるしく変化する世の中で精神心に安らぎと安定を与える場所です。ですから、最近の修道院の復活は、ウラジオ市だけでなく、沿海地方全体にとって、重要な出来事なのです」。
2001/04/13 JSNウラジオストク ドミトリー・ザイツェフ
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2001年04月掲載の記事を転載したものです。