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ウラジオ短信

若年層を中心にウオッカ離れ

最近公表された統計に、ロシア人のちょっとした嗜好の変化が表れている。日本人にとってロシア人の代名詞とも言うべきウオッカの需要が著しく減少し、ビールの売上げが急激に伸びてきている。

国家統計委員会の資料によると、2000年、アルコール製品が軒並み売上げを減らしたなか、ビール販売高は前年比30%の増加となった。アルコール度数の高い他の品目でも、比較的高価なコニャック、ワインの売上げが好調であったのに対し、ウオッカの売上高は前年比33%減少した。ビールの需要はさらに高まると予測されているため、国民のウオッカ離れの傾向は、若い世代を中心にしばらく続くとみられている。

私の限られた交際範囲でも、ウオッカを飲まない、好きではないと言うひとは意外と多い。たいてい、男性はビール、女性はシャンパンもしくはワインを好んで飲む。特に若い人の間では、「ロシア人はウオッカ好き」と決めつけることはできなくなってきた。

しかしロシア極東では、このところ異常な寒波が続いている。ウラジオでも気温が−20℃以下になることもあるが、燃料不足によるエネルギー事情の悪化で、長時間の停電や、暖房供給が全く途絶えている地域が増えてきている。こんな寒さでは、「よく冷えたビールを」というわけにはいかない。電気も暖房もあてにできない寒い部屋のなかで、体を芯から暖めくれるのは、一口飲んだだけで喉から奥が熱く「焼ける」ウオッカぐらいなものである。この冬、ウラジオに限って言えばウオッカがよく売れるのでは、と勝手な予測をしている。

2001/01/22 JSN 浜野 剛

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2001年01月掲載の記事を転載したものです。

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