11月10日から、ロシアでは個人の自動車輸入に関する新事項が導入された。今回の新法規の目的は、関税を支払わない輸入車を取り締まり、予算の税収を増やすことである。
税関の発表によると、今後、自動車の輸入者が居住地の関税で通関手続きをする場合、関税支払い用として事前に税関の口座に一定金額を振り込まなければならない。あるいは担保をつけたり、第三者の保証人や銀行の信用状を取ったりして、支払いを保証しなければならない。これができなければ、通関時に側近で関税の支払いが要求される。
居住地での輸入車の通関は、もっぱら、ヨーロッパと地続きのロシア欧州部で一般的だった。つまり、指定期間内に居住地の窓口で関税を払うと約束すれば、かならづしも、国境で通関しなくて良かった。
しかし、通関したが最後、車は偽造書類で他人名義にされたり、部品に解体されたりして、大半が行方不明になるのが常だという。車自体の存在がうやむやになれば、税金を徴収することはできない。
逆に、船で自動車を輸入する極東では、通常の輸入通関が港で行われてきた。この度の新規則の導入で、極東住民も「前金を払えば」必ずしも港で通関しなくて良くなったのである。
一方、問題も残る。極東住民は、この措置は「税関と口座を管理する銀行のためのもの」と考えている。また、警察での自動車登録期間が厳しく設定されている。居住地で自動車を通関するにしても、輸送中に自動車が壊れたり、事故にあったりしたらどうなるのか?
交通管理局の人の話では、移送中の自動車のナンバーも含め、書類手続きのシステムがまだ完成していないという。また、納付金の余りは返却するのが決まりだが、いつ納税者の手元に戻るのか?いったん予算に編入された資金を、国がすぐに戻すとは考えがたい。
話がそれるが、例えば、銀行は振り込まれた他人の給料さえ、すぐに受け手に渡そうとしない。私の友人は、モスクワ本社から振り込まれた給料の受け取りをめぐって、もう十日以上、銀行と遣り合っているといっていた。顧客よりも自分の資金運用のほうを優先するからだ。
さらに、納付金ですべてカバーできるという保証もない。これまできちんと税金を払っている人もいたはずなのだが、そういう人たちの利益は考慮されないのだろうか。
2000/11/27 JSN 浜野 剛
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2000年12月掲載の記事を転載したものです。