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ウラジオ短信

経済交流へ情報不足克服を

先日、新潟市経済交流団の一員として、ウラジオストク、ハバロフスクを訪問した。行政機関訪問、企業視察、現地ビジネスマンとの意見交換など有意義な訪問で、ハバのソコロフ市長から新潟にビジネス提案が出されるなど、具体的な経済交流に向けた第一歩となった。

今回、ウラジオ、ハバ両市において共通認識を得ることができたのは、ビジネスを進める上で不可欠な企業情報が互いに不足している問題である。ロシアでは企業に関する情報を入手することは容易でない。企業は税制上の問題から具体的な資料を公表したがらず、行政機関でさえ企業の実態を把握しきれていないことを認めるほどである。

この問題の解決はロシア側の努力に頼らざるを得ないが、信頼できる情報を相互に発信する窓口機関の設置が提案され、市レベルでの情報交換を緊密にしていくことが約束された。

ロシアの企業も変革期を迎えている。98年の金融経済危機で国民の購買力が低下したが、これにより食品、日用品などでは輸入品ではなく、比較的安価な国内製品への需要が高まった。このおかげで、生産を伸ばす企業もある一方、ソ連時代からの旧態依然とした経営を続ける企業は淘汰されようとしている。

今回の訪問では日本に対し技術支援を求める声を聞くことが多かった。ロシアの企業でも顧客のニーズに応え、安定成長を続けるためには設備投資が必要との認識が定着し、優良企業が伸びるための法制、税制などの条件もようやく整ってきている。

今回意見交換を行ったウラジオのビジネスマンクラブは、若い世代の企業家から構成されている。彼らは欧米や日本の経営を学び、ソ連時代の経営陣とは程遠い感覚を身につけている。それゆえに技術支援を含めた日本との経済交流への期待は大きく、日本企業に対するアピールも積極的であるが、彼らにとっても日本側の情報不足は深刻な問題であると言う。

情報不足の克服こそが経済交流のカギを握っていることは確かである。

2000/10/29 JSN 浜野 剛

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2000年11月掲載の記事を転載したものです。

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