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ウラジオ短信

ロシアの司法に明るい予感

今年7月にロシアの経済水域内で違法操業したと、石川のイカ釣り漁船が拿捕された。ナホトカ市で行われた一審の判決は損害賠償と罰金の支払、漁船と漁具の没収と非常に厳しいものであった。しかし先週に行われた控訴審では漁船と漁具の没収は取りやめると、日本側の要求が通った形の判決が下された。

私はこの判決を聞いた時、自分の耳を疑った。というのも、過去ロシア国内で争われた裁判において日本側の要求が通った事例は非常に希で、一部では争っても勝ち目はないとまで言われてきたからだ。

今回の控訴審を前に、拿捕された船員の出身地である石川県の知事からプーチン大統領宛に一審の判決を受け「漁船、漁具の没収は漁業関係者にとって厳しすぎる。今一度公正な裁判を望む」といった旨の書簡が送られたといわれる。実際のところロシアの地方都市で行われたこの控訴審で、知事から送られた書簡が項を奏し日本側の要求が通ったという事実の確認はできないが、今後プーチン大統領が行なうとされる改革案の中に、司法の強化とそこに携わる者の待遇改善が項目に上がっているといわれる。それを受けて今回、このような判決が下ったという事であれば、この控訴審はロシアビジネスに携わる者にとって明るい将来を予感させる一件であったように思う。

2000/09/03 JSN 菅原 専

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2000年09月掲載の記事を転載したものです。

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