ここ最近、大小様々なレストランがウラジオストクにオープンした。そのうちの一つ、フョードル湾の海辺にオープンした海鮮料理レストランにロシア人の友人と行った時の話。
黒ビールと生ビールを頼んだ筈が、全く同じ色のビールが出てきた。他のテーブルと間違えたのだろうと店員さんを呼ぶと「ウチの黒ビールは黒くないんです、間違ってません」と説明する。そんな理屈が通ってたまるかと店長を呼び、話をしたところ、あっさりと非を認め本物の黒ビールを持って来てくれた。この店長との話の中で、彼は今のロシアで質の高い店員を確保するのがどれだけ大変なのかを繰り返し訴えいた。特に若い世代の人達には「心使い」や「気配り」といった資質が欠けているのだと言う。
ただし今回のような「事件」は非常に稀なケースであり、今のロシアでは横暴な態度で接客する過去の姿はほとんど見ることがなくなった。
そういえば同じ様な「事件」が今の日本でも起った事がある。ある飲食店で「音楽がうるさいので、ボリュームを下げて」と頼んだところ若い店員は「私、この曲大好きなの」と返してきた事があった。
この話を脇で聞いた日本通のロシア人の友人は驚いた表情で「礼を重んじる日本で、そんな事があるなんて…」と、こぼしていたが、もう日本とロシアはサービスの面でも肩をならべる時代になったのかも知れない。
2000/08/07 JSN 菅原 専
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2000年08月掲載の記事を転載したものです。