ウラジオストクが外国人に開放されたのが1992年1月。開放当時の生活を知っている者には、現在の生活は隔世の感がある。
ここ数年、ウラジオ側でも大きく変化したものに「情報通信サービス」がある。昨年の統計では、極東の大都市ウラジオでさえ電話の普及率は35パーセント。特にウラジオは閉鎖都市であったため解放前は20パーセント台と他の都市より電話の普及は遅れていた。それが解放後、地理的な優位性からアジア・太平洋諸国とのビジネスチャンスが広がってきた。そこで、登場したのが携帯電話だが、ウラジオでもニューリッチ層にすごい勢いで普及し始めている。
ウラジオには携帯電話サービス会社は3社ある。その中の1社、英系の合弁会社の加入数は95年が約1000人、96年約3500人、97年約6000人と倍々ゲームを展開している。現在、沿海地方で約1万8000人の携帯電話加入者がある。携帯電話機の価格が1200〜2500ドル(最近は1000ドルを切っている)基本料金は1ヶ月35ドル、市内の1分間の通話料が0.20ドル、モスクワへは1分1.45〜1.95ドル程と高い。通話料が安くなってくればもっと一般市民にまで普及するはずである。
また、インターネットの場合は回線に問題があるが、電子メールの使用は外国との電話料金の大きな削減になっている。
当社のウラジオ事務所で毎月払っているプロバイダーへの料金が300ルーブル(約,500円)。毎日、大量の文章を日本へ電子メールで送っているので、これをファックス送信をしていたら10倍近い通話料金がかかっている。
この情報通信の分野、日本のKDDが他の国よりいち早くウラジオに進出したが、最近は欧米系の合弁企業に市場を奪われている。
極東を走る乗用車の90パーセント以上が日本車であることを考えると、日本が参入するとすれば「カーナビ」の分野でハードとソフト両面でのサービスできないものだろうか。
1998/08/28 JSN 田代雅章
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1998年09月掲載の記事を転載したものです。