ロシア国家統計委員会のデータによると、沿海地方から日本へ出国したロシア人の数は、94年が約6000人、95年が約3000人と半減している。経済的な問題から外国への渡航者はロシア全体で減少傾向にあるようだ。
しかし、船員などの資格で日本へ中古車を買いに来るツアーは引きも切らないので、実際の数字はもっと多いはずである。
逆に沿海地方を訪れる外国人の数は94年約3万7000人、95年約4万6000人、96年約2万7000人とこれも減少している。これも、ロシア経済の不安定が原因である。
今、ロシア人の観光地としての人気国は「タイ」で、95年度、沿海地方から約1000人が旅行している。前年の2倍強である。
そのタイの魅力は豊富な観光資源と国内の旅費の安さ、外国人観光客の受け入れ態勢の良さである。しかし、少しずつであるが純粋に旅行だけを目的で日本を訪問するロシア人も増えている。
子供連れの親子は東京のディズニーランド、若い知的なカップルは東京の見学、日本は2度目という人は日本のサンクトペテルブルグ、京都へと足を延ばしている。
新潟へ来たいと言う人の中には、何もしないで3、4日、ボーッと過ごせる安い所がないかと相談を受ける。ソ連邦時代であれば、休暇は国内の避暑地で過ごしたのだろうが、ロシア国内の移動費が高いために小金持ちは海外旅行へ流れる傾向にあるようだ。
1997/07/20 JSN 田代雅章
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1997年07月掲載の記事を転載したものです。