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ワラビ料理はわが家の味

沿海地方ではいま、ワラビ採りのシーズンである。学生時代、某ロシア貿易商社に勤めるゼミの先輩が、リクルーターとして母校に来たときのことである。データが古くて申し訳ないが、彼の話によると、学生食堂やお弁当、ファミリーレストランで出している山菜ごはんの山菜は大部分がロシア極東産で、彼の会社がその6割を取り扱っているということだった。

当時は、日本に輸出しているだけだとばかり思っていたが、ロシア極東に住んでみて、ワラビがいかにロシア人の食卓に入り込んでいるかわかり驚いた。

ロシアでもワラビ料理を食べるのはシベリアや極東くらい。もともと朝鮮族が広めたのが、ロシア人の口に合ったようだ。

ロシアではワラビは魚介類や肉、きのこ類とともにいため煮にするのが一般的。ほかに、ゆでて油であえて韓国料理のナムル風にすることもある。余ったワラビは塩漬けにして保存している。ワラビで「わが家の味」を作り出している家庭も多い。

ロシア人の知人の家に招かれたとき、「日本人なんだからワラビ料理を作ってくれ」と言われ、途方に暮れたことがある。

レトルトの山菜ご飯の素に慣らされた昨今、ワラビを丸ごときちんと調理できる日本人がどれだけいるだろうか!結局、ほかのロシア人女性が料理してくれたが、アジア人の面目は丸つぶれだった 。

1997/07/07 JSN 釈囲 美法

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1997年07月掲載の記事を転載したものです。

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