沿海地方の「エネルギー問題」が発端となり、ナズドラチェンコ知事の去就が注目されている。
5月22日には、政府の燃料エネルギー省特別委員会がウラジオストクに調査に乗り込んだ。翌23日、チュバイス第一副首相が知事に辞職勧告を突きつけている。
また、ナズドラチェンコ知事とチェレプコフ・ウラジオストク市長の個人的な対立から、地方自治がおろそかになったということで、知事と市長そろっての辞職もありそうだ。
情報筋によると、 政府は知事の辞職と交換に何らかのポストを用意しており、知事がそれを受けるかどうかでこの問題が決着しそうである。
4月ごろからのウラジオ市内の停電は最もひどい状況となっていた。地域によって差があるが、1日15時間くらい停電していた。原因は電力会社への電力料金の未払いである。
中央政府は沿海地方へ金は支払っていると何度も言っている。それを地方行政府がどのように支出しているのか分からない。沿海地方のマスコミは、知事の権力を恐れて何の発言もしていない。住民には、本当の原因が何か理解されていないようである。
5月9日の戦勝記念日の式典に参加した老兵らが「戦争中でさえ停電などなかった」と、今の生活のひどさを嘆いていた。友人は「毎晩がキャンドルでロマンチックよ」と冗談を言っている。「おかげで出生率が上がるわね」、と言えるこの国の人々のたくましさにはいつも感服する。
1997/05/30 JSN 田代雅章
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1997年06月掲載の記事を転載したものです。