ドイツの通信販売会社「OTTO」のサロンが、最近ウラジオストクにオープンした。ロシア人はカタログを見るのが大好き。慢性的物不足だったソ連時代、西側商品の写真が美しいカタログは、ため息とともに擦り切れるまで回し読みされていた。
物が豊富になった今日でさえ、それは変わらない。その第一の理由はウラジオの商店の品揃えにある。ウラジオで一番大きいグム百貨店では、売り場こそ違え、どの階を見ても同じものしか売っていない。市内にずらりと軒を連ねるキオスクも、中をのぞけば売り物はみな同じ。それがカタログなら「足が棒になるまで」商店を回らずに済む。
物質的に豊かになり始めると、消費者は個性を求め始め、その欲求は衣類から家具、食器と幅広い。しかもそれを一つの商店で揃えようとするのはロシアの地方都市では不可能である。
そこでカタログ販売が注目を浴びるのだ。ただし、ロシアの場合決済や輸送という問題がある。それをクリアするためには、通版会社が国内に支店かエージェントを持つ必要があろう。
ウラジオのOTTOサロンの場合、カタログはサロンで閲覧できるほか、貸し出しもOK。注文を受ける際に代金の50%を払い、商品を受取る際に残りの50%を払う。商品はドイツから取り寄せ、待ち時間は約1ヶ月。数年前の日本のような通販ブームがウラジオでも起こるのか、非常に興味深いところだ。
1997/04/20 JSN 釈囲 美法
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1997年04月掲載の記事を転載したものです。