初めてロシアに行く人や数年ぶりに行く人から、ロシアへのお土産について相談を受けることがある。ここで「パンティストッキングや使い捨てライター」という話が出ると、ちょっと待ってという感じである。
今やロシアでは世界のビールやタバコが買える。使い捨てライターも売っている。パンティストッキングもヨーロッパ製や韓国製が売られており、「日本製のはすぐ破れるからダメ」とさえ言われている。
特にロシアの若者は、ソ連世代が驚くほど欧米の情報をいち早くキャッチし吸収している。時には日本の若者のほうが後れを取ることもある。
今でいう「クラブ」も、ウラジオでは日本よりも一足早くこの呼び名が普及していた。ちなみに、私たちの世代はロシアも日本も「ディスコ」だった。
洋服(特にブーツ)などでも、日本で出始めのモードが、既にウラジオで流行っていたりする。彼らは自分流にアレンジするのもうまい。最近新潟に行ってきた知合いのロシア人デザイナーは、「欧米で3年前に流行したファッションが今ごろはやっている」と感想を漏らした。
このような華やかさの裏では、確実に貧富の差が広がっている。しかし、ロシアで世界の情報が自由に入るようになった今、日本人もうかうかしていられない。「パンストやライター」の概念は化石と化した。
199703/02 JSN 田代雅章
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1997年03月掲載の記事を転載したものです。