ウラジオ事務所にロシア人のスタッフが入社した。ハバ地方出身の25才の女性で「スベトラーナ」という。
極東大学の数学科を卒業したが、いい仕事が見つからずアルバイト生活をしていた。大学も看護婦や店でアルバイトをしながら卒業した苦労人。現在も大学の寮に住まわせてもらっており、その代わりに毎朝6時に寮の掃除をしているという。
今まで、事務所は男所帯で「ごみ」だらけであったが、彼女が来てから一変した。男性スタッフのアンドレイが「何も言わなかったのに、自分の判断で掃除をしてくれた」と、彼女のことを大変に評価している。
ロシア人女性のイメージは、綺麗な洋服にマニキュアをきちんと付けて、間違っても事務所の掃除など自分の仕事ではないというような人が多かった。掃除はいつも自分の仕事であった。
確かにロシアのシステムでは、分業性がはっきりしており、女性スタッフが事務所の掃除などする必要がない。しかし、スベトラーナは仕事もバリバリ出来る。
男性のロシア人スタッフとも仕事をしてきたが、女性スタッフに優れている人が多い。知的労働現場で女性スタッフの管理者が多いのはそのためだろう。
最近は、その女性たちの結婚が遅くなってきている。生活の難しさと結婚だけが人生ではないという考え方が出来てきたようだ。いづこも、男性は頑張らなければならない。
1996/11/03 JSN 田代 雅章
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1996年11月掲載の記事を転載したものです。