ある日、友人(女性)が公園で本を読んでいると、隣に座っていた男性が話しかけてきた。彼は「自分は28歳で小型船の船長をしていて、船に乗せてあげるから来ないか。ぜひ妻にも会わせたいので家に招待したい」と言った。
とても善良そうな人だったが、初対面だし1人では怖かったので友人は断った。彼は残念そうに、何曜日にはここにいるのでいつでも来るように勧めた。
別の日、路面電車に乗っていたとき、年金生活をしているおじいさんに話しかけられ、またもや「ぜひ家に招待したい」と言われた。
このときも彼女はやはり断った。その後おじいさんは彼女よりも先に電車を降り、見えなくなるまで彼女の乗った電車に手を振り続けたそうだ。
実は私もロシア人の友人にお客として招待され、大変なごちそうのもてなしを受けたことがある。どう見ても裕福な家には見えず、とても恐縮してしまった。 すでに4ヶ月滞在しており、現在年金生活しているおばあさんの家にホームステイしている知人によると、そのおばあさんの家にしばしばたくさんの友人をお客に呼び、自分もよく遊びに行って楽しんでいるようだ。
そもそも、ロシア人は客を呼ぶのが好きな民族だ。警戒心がないのか、人がよいのか。ウラジオ市民も、外国人かどうかに関係なく、家にお客を招待するのが本当に好きだ。この点、日本人よりずっとインターナショナルである。
1996/09/01 JSN 渡辺 律子
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1996年09月掲載の記事を転載したものです。