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ウラジオ短信

狩りの必需品 自家製酒愛飲

旧ソビエト時代、ウオッカはなかなか手に入らなかった。値段が高いことや長い行列に並ばなければならず、庶民は自家製酒(ロシア語でサマゴン)を造っていた。

しかし、自家製酒の製造と販売は違法行為だった。警察のパトロールが行われ、家庭用酒造器具は破壊され、密造者らは逮捕された。今では、個人的に飲用するために造るのであれば、自家製酒に関する制限はない。だが、販売はできない。

ウラジオストク市郊外に住むアレクサンドルさん(40)は、今でも「サマゴンが一番」と、自家製酒を造っている一人。彼は、友達と狩りに行くのが好きで、山では気温が下がるため市販されている酒よりも強いものが必要だからという。アレクサンドルさんの造る酒は80度。「いくら飲んでも2日酔いはしない」と、サマゴンの効用を語る。

水に砂糖とイーストを混ぜ、暖房機の近くでねかせること約2週間、ステンレス製の蒸留機で蒸留、水道水を使って蒸気を冷やすと原酒がチョロチョロとホースから出てくる。それから、酒に味を付け、好みによってオレンジの皮や黒コショウなどで味を調えると出来上がり。

ライターで火を付けると燃え上がるほど強い。これを一気に飲み干すのがロシア流。以前、3杯で気を失った。

1996/05/19 JSN 田代 雅章

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1996年05月掲載の記事を転載したものです。

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