ロシアに住んでいて、女に生まれてよかったと思うのは、3月8日の「国際婦人デー」である。信じられないほどこの国では盛大に祝う。春の訪れとともに女性を賛美する日。国際とはいうもののロシアだけのような気もする。1日であれ、こうやって男性から祝われるのでロシアの女性が際立って美しいのかもしれない。
前回書いたように2月23日に先手を打って男性を祝ったので、そのお返しを大いに期待できる。8日は祝日なので職場では7日に男性陣から祝われる。
オフィス近くにあって、オランダから輸入している花屋さんでは連日長い行列。新聞には1ヶ月も前から女性に限り歯の治療割引だとか、贈り物は当店でとの広告、前日には入荷したばかりのバラがどこどこではいくらで売っているとの情報がウラジオストクで流れる。ちなみにバラ1本2万ルーブル(400円強)、カーネーションは1万ルーブル。
この日、朝は街角の花屋に出入りし、足早に職場へ向かう男性を目にしたかと思うと、夕方には花束を手にして帰宅する女性たち。私も職場で花束をもらい、シャンパンを浴びせられてふらふらと町の中心をいつもより遠回りして家路に向かった。もちろんもらったバラの花を見せびらかすために。
付け加えれば、8日の休日は家庭で祝い、家事はすべて夫がするようだ。妻は着飾ってこの日ばかりは女王様。やはりロシアはいいなあ。1日だけでも。
1996/03/17 JSN 山本 千津子
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1996年03月掲載の記事を転載したものです。