4月になるというのに、既に2回積雪を見た。今年の冬は温暖だったが、春は雨が多く、寒いという予測である。
このまま春になってくれるとたかをくくって早々とかぶりものをとったので、頭から風邪をひいてしまった。くしゃみと鼻水が止まらない。
というわけで、今ウラジオストクは帽子の花盛りである。毛皮の帽子ではなく、格好の良いつば広のハットである。西洋人の例に漏れず、ロシア人にもこのような帽子がよく似合う。
この春の流行は、パステルカラーのフェルトのつば広帽に同系色のワンピース風ロングコートというスタイルである。若い女の子がこの格好をすると、お人形さんみたいでとてもかわいらしい。もっと大人の女性になると黒の皮のロングコートに黒の帽子を合わせている。
私は日本では帽子なんてかぶらなかったが、大学の先輩にいつも帽子をかぶっている人がいた。彼女はお嬢様風の帽子だったが、「おしゃれというより、暖かいからかぶる」といっていた。
ウラジオにきて、その言葉を実感した。確かに帽子は暖かい。日本ではファッションの役割が強くても、寒い国ではきちんとした防寒具である。
この春、私もすてきな帽子をかぶりたいと思い、洋品店を物色している。女性のコートと帽子の色で知る春の訪れである。
1996/04/16 JSN 釈囲 美法
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1995年04月掲載の記事を転載したものです。