ロシアのおばさんたちは働き者だと以前に書いた。最近、彼女たちの負担を軽くしたものとして、インスタント・レトルト食品が挙げられると思う。
ちょうど3年前、私が再度ウラジオストクにやってきたころ、中国製インスタントラーメンが市場に出始めていた。はっきり言って、日本人にはお世辞にもおいしくはないが、ロシア人には割に人気があった。
理由は調理が簡単なことである。それまでは、家族を置いて仕事に出るとき、主婦は家族の食事の準備をしておいて出かけた。だが、インスタントラーメンなら食卓に出しておけばみんな勝手に作って食べられる。
一昨年くらいから韓国製のカップラーメンも売られている。今ではクノールのインスタントスープや固形ブイヨン、レトルトカレー、外国のシチューやスープ、ミートソースの缶詰が豊富に出回っている。野菜と肉をさっといためて混ぜるだけのソース類も登場。「手軽で素晴らしい出来」とかなんとかいうキャッチフレーズで盛んに宣伝されている。
インスタント食品ではないが、ペットフードも山ほど売られている。ケーキミックスも最近やたら目につく。
これまで、在留邦人も含めて料理のできない男性たちはロシアでは飢えるしかなかった。お手軽食品のおかげで今や彼らも独り立ちでき、女たち(私も)楽になったのである。
1996/02/26 JSN 釈囲 美法
※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1995年02月掲載の記事を転載したものです。