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ウラジオ短信

おばちゃんパワー全開

私は常々、ロシアはおばさんたちのパワーで持ちこたえていると思っている。ロシアはソ連時代からの男女同権、雇用均等、夫婦共働きの印象がある。だが、ひとより少し収入のある男性の多くは「男は外、女は中」、趣味は別として「男子厨房(ちゅうぼう)に入らず」という考え方である。ロシア人男性のあこがれは「蝶々(ちょうちょう)夫人」なのである。

確かに、こちらの男性はまだ重いものを持ってくれたり、大工仕事や運転手をしてくれたりする。でも、生活のためにやむを得ず外で働き、夫を操縦しながら、家事一般や育児は依然として女性の分担である。

清掃作業員や食堂の賄い、レジ、レストラン、売店、工場、幼稚園、学校、病院、工事現場、塗装...。軍隊や警察以外で、組織の末端で働いているのはほとんど女性である。半面、失業者で断然多いのも女性である。

一方、ある程度の年齢の男性たちは、小さくともセクションの長に納まっている。おばちゃんたちは太っているが、重労働をすれば腕も太くなるだろう。食料の入った買い物袋は超重い。太ろうとも、消耗するからダイエットなんてできないだろう。疲れれば、甘いものも欲しくなるだろう。

太ったおばちゃんが満員電車に無理やり乗ると、3人ははみ出す。この迫力で、彼女らはここの経済の末端を支えているのだ。

1996/02/05 JSN 釈囲 美法

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1995年02月掲載の記事を転載したものです。

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