夫/アレクサンドル(32歳)港湾オペレーター
妻/ガリーナ(29歳)大学職員
娘/ポリーナ (3歳)
ウラジオストクに暮らすメリチュコフさん一家は、今年で結婚9年目を迎える。奥さんのガリーナさんは「つい昨日式を挙げたばかりなのに、子供がもう走りまわるくらい大きくなって……」と感慨を覚える。
アレクサンドルとガリーナは1998年7月4日、「Student's Wave」というラジオ局を通じて知り合った。これは極東工科大学で電気工学を専攻していたアレクサンドルが立ち上げたラジオ局で、彼自身が音響オペレーターとして働いていた。ガリーナは当時、同大学の広報学部の学生で、学んだ事を実地にためす意味もあって、ラジオ局の番組制作を手伝うようになったのだ。
ふたりは翌年の1999年9月11日に結婚し、アレクサンドルの両親と、兄のアナトーリーとで、3部屋のアパートに共同で暮らすことになった。アレクサンドルは大学卒業後、ウラジオ港で貨物取扱業務を行う有限会社(OOO)「UPEK」に就職し、今では動力部の主任として働いている。
2005年2月23日、祖国防衛記念の祝日に、娘のポリーナが生まれた。ふたりにとって、また親戚の皆にとって、子供の誕生は長い間、待望していた出来事だった。ポリーナはとても陽気で、可愛らしく、家族の皆に愛されている。少し甘やかし気味なところもあって、両親はどんなことであれ、娘に「ダメ」と拒絶することができないでいる。
「自分のために買い物をあきらめることはあっても、子供のためとなれば、お金はいつでもみつかるものです」とガリーナ。ポリーナの部屋はぬいぐるみで埋め尽くされていて、親戚は彼女の誕生日に何を贈ればいいのかわからないくらいだ。
娘が生まれるまで、ガリーナはメソジスト(学生の希望に応じた履修カリキュラムを組む仕事)として極東工科大学の遠隔地教育センターで働いていた。いまは3年間の産休に入っている。ポリーナは数ヶ月前から幼稚園に通うようになった。
「ポーリカ(ポリーナ)は朝は幼稚園に行きたくなって泣くのに、夕方には逆に、幼稚園から帰りたくないって大泣きするんですよ」
産休に入るまで、彼女は5000ルーブルの月収を受取っていた。当時の水準からすると、これはこの種の仕事としては非常によい給料であった。しかし物価が上がった関係で、現在ならもっとよい給料がもらえるはずだとガリーナさんは期待している。
一家の家計は現在、全面的にアレクサンドルの双肩にかかっている。彼の収入は3万ルーブルで、ガソリン代に月平均2400ルーブル、食料品に約1万ルーブル、公共料金に3000ルーブルかかる。残りのお金は育児のあれこれに費やされる。
一家は2007年、とうとう念願の持ち家を手に入れた。2部屋のアパートをローンで購入したのだ。アレクサンドルのおばあさんが1部屋のアパートを遺産として遺してくれたので、この部屋を売却し、兄弟でお金を分ける事になった。そのお金で、一家は新居の頭金を払う事ができたのである。