夫/アレクサンドル(25歳)マネージャー
妻/ナタリア(28歳)大学事務員
長男/マクシム(3歳)小学生
ウラジオストク在住のビリビン一家は3年前に結婚したばかり。当時、夫のアレクサンドルは大学を卒業したてで、妻のナタリアは大学で秘書として働いていた。ふたりは共に沿海地方の出身で、ナタリアはダリネゴルスク市から、アレクサンドルはボリショイ・カメニ市から、それぞれウラジオストクにやってきた。自分達の持家はまだないので部屋を借りている。
結婚して最初の2年間、家計は非常に苦しかったという。出産と育児でナタリアは働けず、アレクサンドルの仕事もあまりうまくいっていなかった。やりがいがあり、給料が良く、経験の浅いスペシャリストを積極的に採用してくれる仕事というものはなく、しかし家賃につけ、赤ん坊を育てるにつけ、お金というものは必要だった。当初は両親に金銭面で随分援けてもらったという。加えて、子供が生まれて最初の年はウラジオストクで断水があり、ナタリアは今でも当時を思い起こしてはうんざりとする。水が供給される数時間のうちに、洗濯物を全部手で洗い(というのも洗濯機がなかったので)、食器を全部洗い、洗面をすませ、予備の水を貯め込んだものだという。しかもお湯は出ず、冷たい水だけであった。
今では暮らし向きは大分楽になった。アレクサンドルは良い会社に勤めていて、給料もなかなかのものだ。仕事の出張もしばしばで、これまでロシアのほとんどありとあらゆる地域に赴いたという。会社は彼を高く評価しており、車の購入費を補助してくれたり、最近では―仕事で必要になるということで―商業学校の学費を出してくれたりした。ナタリアは前の職場に復帰してじき1ヶ月になる。子供は保育園に入りはしたものの、行きたがらないので、泣いたりなだめすかしたりの毎朝である。彼女はじき4年つづけた大学の通信教育を卒業し、転職するつもりでいる。
家計収入の大半はアレクサンドルの給料によるもので、1ヶ月2万5000〜3万ルーブル。ナタリアは(職場に復帰して1ヶ月たたないので)まだ給料をもらっていないものの、5000ルーブルを超えることはないという。家賃に8000ルーブル、保育園に1000ルーブル、食費に6000ルーブル。駐車場やガソリン代、車の修理費等は、仕事で車を使うことの多いアレクサンドルの会社が負担してくれる。
今年、ナタリアとアレクサンドルは住宅ローンを組む予定だ。家賃が値上がってばかりいるのでいっそ持家を買ってしまった方が得と考えたのだ。金融状態が安定している間は、アレクサンドルの会社は活発な成長を遂げ、市場での存在感を示すことだろう。 (2007年06月)