夫/イワン(48歳)建築事業主
妻/オリガ(48歳)エコノミスト
長女/ディアナ(27歳)数学教諭
長男/ミハイル(10歳)小学生
イワンが仕事で携わる建設業は好不況の波が激しい世界だが、目下ウラジオストクは建設ブームに沸いていて、ビジネスも非常にうまくいっている。妻のオリガは運輸会社でエコノミストとして働き、5年前に大学を卒業した娘のディアナは、市内の大学で高等数学を教えている。一家はマリンスポーツを共通の趣味にしている。夫妻は若い頃ボート(漕艇)競技に熱中し、夫のイワンは今でもアマチュア大会に出場している。息子のミハイルも両親に倣い、数年前からスポーツスクールに通ってボート競技に打ち込んでいる。 ディアナが親しんでいるのはヨット競技(セーリング)で、彼女の所属するチームは地元の大会から国際大会まであらゆるレースに参加し、しばしば表彰台に上っている。
一家は市内中心部の広いアパートに暮らし、家族一人一人に自分の部屋がある。家庭は円満で、些細な事を除けばいさかいもほとんどない。また、一家は郊外にも小さな家を所有している。素晴らしいボートを手に入れるのが一家の夢なのだが、この家はそうしたボートが泊められるよう、わざわざ海辺に建てられたものだ。ここにはイワンの両親が暮らしていて、子や孫が始終出入りしている。
アパリン家の収入はイワンのビジネスにかかっており、彼の収入は5万〜10万ルーブル、仕事の多い月にはこれを上回ることもある。オリガの給料も2万2000ルーブルと悪くない。ディアナが教職から得る収入は約9000ルーブルだが、これはしばしばヨットチームの維持費に消えてしまう。彼女は家庭教師もしていて、これが臨時収入となる。ミハイルのボートスクールの授業料も、用具購入やメンテナンスなど、なかなか出費がかさむ。
一家の支出は月平均2万〜2万5000ルーブル。公共料金に4000〜5000ルーブル、食料品や日用品、細々した雑費に1万ルーブルかかる。イワン、オリガ、ディアナの3人が車を所有し、この維持費に月1000〜3000ルーブルかかる。また、ミハイルの学校給食費に月1000ルーブル程度が集金される。残りは適宜、趣味のマリンスポーツ、衣服、娯楽等に使われる。イワンとオリガは月に一度必ず、二人きりでレストランに出掛けることにしているが、イワンが仕事やマリンスポーツの練習に忙しく、時間をとれないこともしばしばだ。(2007年05月)