夫/オレグ(49歳)国家公務員
妻/アーラ(48歳)企業経営者
長女/アンナ(24歳)ソーシャルワーカー
イェゴロフさん一家の住まいは、ウラジオストク中央部の、ある有名な地区にある。3人の暮らす3部屋のアパートは、アーラの両親が10年ほど前に亡くなった際、譲り受けたものである。退職してしばらくになるオレグの両親は、ウラジオ近郊のボリノ・ナジェージジェンスク村に住んでいる。立派な一軒家と広い畑があり、ここで採れる収穫は一家を充分養ってくれる。それで、オレグとアーラは、自分たちのダーチャを欲しいと思ったことは一度もない。実際、畑仕事にまで手が回らない忙しさであった。
アーラはおよそ20年間にわたって観光業に携わり、世界各国を飛び回ってきた。アレグは大学卒業後の数年間は、工場でエンジニアをしていたが、その後、国家公務員の口を紹介された。2人は仕事が忙しく、娘と触れ合う時間さえ犠牲にされるほどであった。アンナは14歳くらいまで、両親より祖父母と過ごす時間の方が多かった。でも、家族の皆は、このような生活リズムにすっかり慣れっこになってしまった。今ではアンナ自身も、このようなリズムで暮らしている。2年前に大学を卒業して、今は心理学を専攻する大学院生であり、また、働いてもいる。旅行代理店で中国ツアーの添乗員もしている。
家計は銘々の収入で賄われている。オレグの月給は約3万ルーブル、アーラは2万5000ルーブル、アンナは1万6000ルーブルである。月々の出費は、銘々一定の額を分担して出し合い、残りは各自持ちである。
一家の共同支出は、家賃と公共料金に3000〜5000ルーブル、食費に5000ルーブル、2台の自動車の維持費に2000〜3000ルーブル。その他生活雑貨は、必要に応じて、たいていはアーラかアンナが支払う。何か高価な商品を購入する必要があるときは、金を出し合うか、誰かのおごりになる。
オレグもアーラもアンナも、皆、友人付き合いを大変大事にしている。オレグとアーラには、若い時分からの親しい友人が何人かいる。彼らとはいつも互いに支え合い、子供同士も仲良しで、なるべくしょっちゅう会うようにしているし、祝日はいつも一緒に過ごすのである。レストランで食事するのが大好きである。 アーラは職業柄、レストランや会社の経営者連中に顔が広く、割引待遇に恵まれることが多い。
もうすぐ正月。イェゴロフさん一家は、ここ数年、友人たちと共に森林の中にあるキャンプ場に出かけて、新年を迎える習慣になっている。新年の休暇は10日ほどあるので、皆、スキーや乗馬や橇滑りや、森林の散策などで、素晴らしい冬休みを充分堪能することができるのである。(2006年11月)