夫/セルゲイ(44歳)大学教授、弁護士
妻/エカテリーナ(46歳)会計コンサルタント
長男/アンドレイ(22歳)大学院生
長女/マーシャ(10歳)小学生
ゴロバノフさん一家は、ウラジオストクに住んでいる。スタンダードタイプの3部屋のアパート暮らしである。大きくなった末娘のマーシャ用の個室と、もう一部屋家族が団らんできる客間が欲しくなり、皆で相談して改装工事をした結果、夫婦と子供たちそれぞれの個室と大きな客間が手に入った。模様替えは大変シンプルで、台所のあった場所にマーシャの部屋を造り、台所は一番大きな部屋をダイニングキッチンに改装した。
長男のアンドレイは、去年、大学を優秀な成績で卒業し、大学院に進んだ。今年、ある英国の大学院の編入枠を勝ち取った。9月末には英国へ向けて発つことになっている。必要書類は全て準備が整い、一家はアンドレイの出発を前に胸躍らせている。
セルゲイは、市内の大学の法学部で教授をする一方で、法律家としての実務にも携わっている。
エカテリーナはマーシャを出産するまでは、長年大手の銀行に勤務し、高い評価を得ていた。しかし、病気がちのマーシャを家でみられるように、エカテリーナは、複数の小さい個人経営の会社で掛け持ちして、時間給の簿記係の仕事をするようになった。
一家は自動車を2台所有している。1台はセルゲイ専用、もう1台はエカテリーナとアンドレイが共用している。
ゴロバノフ家の月々の収入は、約5万ルーブル(うち3万ルーブルはセルゲイの、2万ルーブルはエカテリーナの月給)である。これは日本円に換算すると、約20万円に相当する。家計の1ヶ月の支出の部の内訳は次のようになっている。家賃と光熱費が、1500から4000ルーブル(季節によって異なる)。食費と必要緒経費に約1万ルーブル。自動車維持費に3000から5000ルーブル。マーシャの学校の経費(教材費・給食費など)が500から1000ルーブル。1万ルーブル(時にはこれより多いこともある)を貯金に回している。
アンドレイは奨学金をもらっているほか、自分の所属する研究室で講師をして収入も得ている。これは平均7000ルーブルになる。この金は自分の自由になっているが、自分のためだけに使っているという訳ではない。マーシャは両親よりも兄に小遣いを無心したり、欲しいものを買ってもらうことが多い。というのも、マーシャが頼んでアンドレイが小遣いをくれないことはないし、両親のように説教したりしないからである。今回アンドレイが英国に留学することに決まって、マーシャは喜ぶよりもむしろ、がっかりしている。12も歳が離れていても、とても仲の良いきょうだいなのである。 (2006年08月)