夫/セルゲイ(58歳)港管理局長
妻/イリーナ(54歳)秘書
長男/アンドレイ(34歳)漁船長
長女/マリーナ(24歳)大学講師
一家は、ハバロフスク地方東岸の小さな港町「ソビエツカヤ・ガワニ(ソフガワニ)」で暮らしている。ソフガワニは、ワニノの南に位置し、間宮海峡を挟んで海の向こうにはサハリン島を臨む。セルゲイとイリーナと結婚したのは36年前。この間、良いときもあれば、そうでないときもあったが、家族が力を合わせて、ペレストロイカ、ソ連解体、そしてロシアに至る激動の時代を乗り越えてきた。
夫妻には2人の子供がいるが、いずれも独立し、家庭を築いている。イリーナは、造船所で秘書の仕事をしている。年金生活をしても良い年令ではあるのだが、今も仕事を続けている。20歳の頃からずっとこの造船所に勤めてきたこともあり、会社の上層部もその人柄と経験を高く評価しているのである。
セルゲイはウラジオストクの航海学校を卒業後、職業割当でソフガワニ港に派遣された。ここでイリーナと知り合ったのである。結婚当初、彼女の両親と同居していたが、長男の出産を機に、住居を割り当てられた。セルゲイは、ソフガワニに来てからも、通信教育で勉強を続けた。
長男アンドレイは、父が反対したにもかかわらず、漁船の船長になった。現在、妻と二人の子供がいる。ソフガワニでアパートを購入し、両親とは別に暮らしている。アンドレイの収入は月平均にすると6万ルーブル(約24万円)。
長女マリーナはノボシビルスク数学大学を卒業し、大学で講師をしている。月収は約5000ルーブル(約2万円)。結婚して、ノボシビルスクで暮らしている。
一家の収入は息子に比べると多くはない。イリーナの月給は3000ルーブル(約1万2000円)、年金が3200ルーブル(約1万2800円)。セルゲイの月給は1万ルーブル(約4万円)である。住居の管理費、光熱費が2000ルーブル。収入はさほど多くはないが、夫婦2人でつつましい暮らしをしているので、十分にやっていける。また、趣味と実益を兼ねて、ダーチャの家庭菜園で野菜や果物も育てている。 (2006年06月)