夫/アレクセイ(54歳)工場勤務
妻/タチヤナ(54歳)大学講師
ウラジオストクで暮らすアスタフィエフさん夫妻には2人の娘がいるが、すでに独立した家庭を築いているので、別れて暮らしている。長女のアナスタシヤは、夫と息子の3人家族で、5年前に購入したアパートに住んでいる。彼女の夫は、大型漁船の乗組員をしているので、ある程度の所得がある。次女のエリザベータは、高齢の夫の両親と同居して、面倒を見ている。
こうした理由で、アスタフィエフさん夫妻は娘たちの家族とは離れて暮らしているが、娘たちが孫を連れて頻繁に遊びに来てくれるので、寂しくはない。学生時代からの友人とも未だに付き合いがあるうえ、10年前から寝食を共にしている犬も家族の大切な一員だ。この犬はまだ幼い頃、いつも猫に間違えられたことから、通常猫の名前である「ムーシャ」と名づけられている。
アスタフィエフさん夫妻は、工科大学の同級生で、卒業後も同じ工場で働いてきた。ところが、90年代前半の景気が悪くなった時期に、まずタチヤナが、その3ヵ月後にはアレクセイまでもが、リストラされた。彼らは、長年同じ工場で働いてきたため、自身の専門外のことはほとんど分からなかった。そのため、経済的な問題以上に、再就職できるかどうか、精神的に不安だった。しかしアレクセイは幸運にも、ある民間工場の技術者として迎え入れられた。タチヤナは2年程職につかず家事に専念していたが、その後社交的な性格が幸いして、ある大学の講師の口を見つけた。当初は授業の準備に追われる日が続いたが、今では学生たちから信頼される存在となっている。この頃から、一家の生活は徐々に良くなり始め、今では余裕のある生活ができるようになった。
アレクセイの月給は1万5000ルーブル、タチヤナは6000ルーブルである。工場に勤めていたころに支給された3DKのアパートを所有しており、1ヶ月の光熱費などの管理費は1800〜2500ルーブルである。アレクセイが所有する日本製の中古車の燃料費は月に2000ルーブルほど。タチヤナはもう少しお金が貯まったら、中国へ買い物ツアーに出かけるつもりである。(2004年05月)