夫/セルゲイ(45歳)運転手
妻/イリーナ (42歳)看護師
長女/オリガ(17歳)高校生
イリーナとセルゲイは結婚して18年になる。二人は勤務先の病院で知り合った。イリーナが医療専門学校を卒業後、看護師として就職した病院で、セルゲイが救急車の運転手をしていたのである。結婚後数年して娘が生まれ、一家に2DKの住宅が供給された。
それまで一家は、セルゲイの両親と同居していた。同居生活に不満はなかったが、やはり自分の家が与えられてテメリャゼフ夫妻はとても喜んだ。両親のところから引っ越し、親子水入らずになって初めて、彼らは自分たちが本当の家族だと感じたのである。
イリーナは病院に就職して10年間、外科の看護師として働いた。その後、同じ病院の記録課への転属を勧められた。給料は変わらないうえ、より多くの時間を家事に割けるので、彼女にとって交代制勤務は都合が良かった。
セルゲイは5年前、民間企業の運転手に転職した。これは、病院の給料の支払いがますます遅れるようになったためである。イリーナの給料も遅れており、家族を養わなければならなかったからだ。
セルゲイの月給は3500ルーブル(約1万4000円)、イリーナは650ルーブル(約2600円)。イリーナは料理の腕が抜群で、しかも、安い材料で最高においしい料理を作る才能がある。そのおかげで、食費は月1700〜1800ルーブル(約6800〜7200円)に抑えられている。
毎月、約200ルーブルを住宅管理費と公共サービス費に支払い、娘には祖父母が毎月200ルーブルの小遣いをくれる。残ったお金で、雑貨や洋服などを買う。
オリガは今年高校を卒業するため、現在、「進学問題」に直面している。それは、ほとんどの大学の授業が有料だからである。オリガはまだはっきりとは将来の選択をしていないが、教員かソーシャルワーカーになりたいと思っている。(2001年01月)