ロシア最大の旅行会社「インツーリスト」とイギリスの「トーマスクック」ホールディングスが25日、合弁企業の設立について発表した。インツーリスト社プレスリリースが11月25日付で伝えた。
新会社の持株比率はトーマスクック50.1%、インツーリスト49.9%だが、合弁会社設立に関する両社間の契約書には今後5年間で新会社の株式の最低24.8%をインツーリストからトーマスクックに譲渡するオプションが設けられている。本社はロシアではなくスペインに置かれ、トーマスクック・フランスCEOであるDenis Wathier氏が取締役会会長に就任し、取締役会7議席のうち、4席をトーマスクック、残り3席をインツーリストが取得する。
インツーリストは自社の旅行手配・販売事業を新会社に移管するが、同社が経営する13のホテルは今回の取引に含まれていない。インツーリストは今後、旅行手配業務から撤退してホテルチェーンの経営に専念するものとみられる。
11月25日付のベドモスチによると、合弁会社設立に関する記者会見でインツーリスト社のアルチュノフ社長は「この取引はインツーリストの旅行商品拡大、移動手段や渡航先のホテルといった面でのより良い条件の提供、新たなITシステムの獲得の一助となります」と語った。またトーマスクック・グループCEOのManny Fontenla-Novoa氏は「インツーリストはトーマスクックがロシアだけでなくCIS、東欧諸国でのプレゼンスを拡大する上で助けてくれることになります」と語り、今後5年間で同地域での顧客数と販売拠点を倍増させる意気込みを示した。(11/25)
*トーマスクック
Thomas Cook Group plc:イギリスの旅行代理店。2007年にドイツのトーマス・クック (Thomas Cook AG) とイギリスのマイトラベル・グループ (MyTravel Group plc) が合併して誕生。インツーリスト公式サイトによれば、2009年の売上高は93億ポンド超。21ヶ国で事業を展開し、3万1000名の従業員を擁する。
*インツーリスト
1929年創設。ソ連時代にインバウンド事業に携わる唯一の国営旅行会社であったが、ソ連崩壊後の90年代初頭に民営化。現在、株式の66%を「AFK Sistema」ホールディングスが、25%をモスクワ市行政府が所有している。2009年の売上高は126億8000万ルーブル、純損益1億750万ルーブル。従業員数1100名。
(週刊ダーリニ・ボストーク通信874号より抜粋)