中国吉林省琿春市・沿海地方ザルビノ港・新潟市をつなぐコンテナルートが始動し、最初の2本のコンテナを載せた船が10月24日に新潟港に到着した。ザルビノ-新潟間の輸送を担当する運送会社の飯野港運に本誌記者が取材した。
通常、中国東北部から日本へ貨物を輸送する場合には遼寧省大連港を経由するルートが用いられるが、吉林省や黒龍江省が出荷地の場合は他の省をまたぐためオペレーションが複雑になり、コストも時間もかかる。新ルートはこうした問題への対応策として期待されている。近年の中国の好景気を背景に、日本企業が多数進出している大連では加工賃が上昇し、また工員の確保が年々難しくなってきており、さらに加工賃の安い内陸部等へ日本企業が進出する動きもある。
今回輸送されたコンテナのうちの1本にはホームセンターチェーンのコメリ(本社新潟市)の長靴が積まれているが、これは黒龍江省で製造されたもの。別の1本には小島衣料(本社岐阜市)の琿春工場で製造された衣料品が積まれている。琿春を10月15日にトラックで出発した貨物は同日中にザルビノに到着し、10月21日に同港を出港、24日に新潟に入港した。飯野港運東京支店の岡野課長によれば、船のスケジュールや海上の天候によってはさらに時間を短縮することが可能だという。
このルートでは琿春・ザルビノ間のトラック輸送のオペレーションは日本通運の代理店である公開型株式会社プリモルアフトトランスが行ない、ザルビノ・新潟間は飯野港運が担当する。
このルートで懸念されているのは、中ロ国境のクラスキノ自動車通過ポイントの処理能力が低く、貨物が増大した場合には処理しきれない可能性があることである。今年12月に新しい通過ポイントの建設開始が予定されている。
また、吉林省にとってはこのルートは海への出口として期待できるものだ。同省の関係者は、近いうちに軽工業品だけではなく日本向けの木材製品も出荷する見込みだと述べている。(10月21日付Prima Media)
飯野港運の岡野課長によれば、年内の貨物は今回のコンテナだけで、来年1月からは月2回ほどの運行を予定しているとのこと。(10/25)
(週刊ダーリニ・ボストーク通信869号より抜粋)