2008/11/4 週刊『ダーリニ・ボストーク通信』 773号
10月8日(水)ハバロフスクの公開型株式会社「ダリコムバンク」の窓口およびATMには、預金口座から現金の引き出しを求める一般の預金者が長蛇の列を作った(10月10日付「太平洋の星」紙)。同日から2日あまりで、同銀行から6億ルーブルが引き出されたが、これは一ヶ月平均額に相当する。10月8日〜12日までの4日間で、25億ルーブルの預金が引き出された。
10月21日付Primamedia通信が伝えたところによれば、「10月8日12:00にダリコムバンクは倒産する」というデマの情報が流され、これにより預金者がパニックに陥ったという。ダリコムバンク頭取のアンドレイ・シリャホボイ氏は、このデマ情報を「ダリコムバンクをよく思わない勢力からの襲撃(レイダー)行為の一種」と呼ぶ。今回現金を引き出した預金者達は、満期以前の解約のため、利子を受け取ることは出来なかった。
ダリコムバンクの経営陣は、この状況に対し機敏に対応した。同行は各支局やATMを通じて24時間体制で希望する顧客全てに預金引き出しの手続きを行い、生じた混乱を収めるよう努めた。
シリャホボイ頭取によれば、銀行の財政状態や経営状態には問題がなく、このように預金者の不安を駆り立てる客観的な要因は存在しないという。
「現在ダリコムバンクの収益はかつてないテンポで伸びています。今年最初の9ヶ月の収益は3億1000万ルーブルとなりました。これは過去5年分の収益合計に匹敵するものです。事業展開も積極的に進めており、次々に新しいオフィスを開設しています。預金者の信用を失うような、客観的な経済的要因はありません。ただ根拠のない噂が住民をパニックに陥らせています」とシリャホボイ頭取は言う。
専門家によればロシアでは金融危機は地方の銀行には強く波及していない。外国の証券や資産に大規模な投資を行っていない分、地方銀行がこうむった影響は、大手銀行よりも小さいといえる。シリャホボイ頭取によれば、地方銀行は世界金融危機を背景に、投資を本当に重要な経済プロジェクトにだけ絞ってきた。プレスが金融危機について書き立てなければ、ハバロフスクの住民は金融危機になど気づく余地もなかったかもしれない。
(週刊『ダーリニ・ボストーク通信』773号より抜粋)