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プーチン首相「ロシアは農業大国を目指す」

ベードモスチ紙 2008/5/20

 プーチン首相は、農業が盛んなオルロフ州ボロシロボ村の農家を視察し、「政府は喫緊課題として、農業及び農産品の諸問題解決に取り組む。特に穀物生産の増加に力を入れ、最終的には人口(※注)1人あたり1トンの穀物生産を目指す」と発言した。

 専門家は、「過去3年間のロシアの穀物生産量は人口1人あたりの換算で0.5〜0.6トン。ロシア南部地域、黒土地帯、アルタイ地域の作付面積及び作付面積あたりの収穫高を現在よりも3−4割上げることで、この数値を倍にするのは可能だろう。仮に倍になったとして、そこからロシア国内での年間穀物需要量である8000〜9000万トンを引き、残った5000〜6000万トンを輸出に回すことになれば、ロシアは農産物輸出国の上位にたちまち躍り出る」と分析している。

 2007年、ロシアの食料輸入額は前年比28%増の276億ドルに達した。酪農品の輸入依存率は26%、肉製品にいたっては41%にも上る。このような状況に対し、ゴルデーエフ農業相は、「国内生産者にとっては、将来に希望が見出せず、全く良い状況ではない。国策として、種苗生育や畜産関係に追加的に補助や投資を充実させる必要がある」としている。

 こうした政策に対し、専門家の意見は二分している。

 「収穫高が国内需要を上回ると、国内取引価格は下がる。一方、国際市場に出て行けば、厳しい競争にさらされ、輸出業者に対しても、国の補助をしなければならなくなる。従って、現在の状況下で増産をすることは、生産者にメリットは無い」
 「食肉や酪農製品への需要増加に伴い、穀物飼料の需要も高まっており、穀物の増産は欠かせない」

 穀物増産による輸出増加の場合に考えられる障害要因として、ロシアの交通インフラの不整備が指摘されている。ある試算によると、現状では年間2000万トン程しか可搬能力がないという。

※注 ロシア連邦総人口は約1億4300万人(2005年)

 



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