JSNトップページ > ニュース記事

最新ニュース

意識調査:6割が「仕事は単なる収入源」(要旨)

ガゼータ・ル紙 2008/4/16

 「ささやかではあるが、それなりの報酬があり、かつ、将来においても安定した収入が見込める職業よりも、今すぐ稼げる高収入の仕事を選ぶロシア人が増えている」。ロシアの調査機関がこのほど発表した意識調査で、このような傾向があることがわかった。1999年に行われた同様の調査では、前者は回答者のうち60%を占めたが、今回では44%に減った。逆に後者は23%から34%に増えている。さらに、労働から得られる満足を感じているのは10人に1人で、多くの人がお金のために働いている実態が浮き彫りになった。

 「収入額や地位に関わらず、仕事に満足している」と答えた回答者は12%しかおらず、逆に「仕事は生存の糧を得るための、単なる収入源である」という文句に「そう思う」とした回答者は64%にものぼった。

 回答者を収入別に分けてみると、家族一人当たりの月収が1500ルーブル(約6750円)以下の層では、74%が「金のためだけに働く」としている。月収が5000ルーブル(約2万2500円)以上の層になると、同様の回答をしたのは62%にまで下がる。

 専門家はこの調査結果を次のように分析している:「マズローの欲求階層説を用いて説明すると、人間はまず生理的欲求を満たし、その次に安全の欲求、所属愛の欲求、自尊の欲求、最後に自己実現を欲求する。現代ロシアにおいて欲求の第一段階となっているのは、食、住、教育である。これらの欲求を満たすまでは、人々はそのためにかかる費用を稼ぐことだけに必死になる。このような状況下では、満足できない労働条件や業務内容にもしばしば妥協してしまうのだ」

 多くの人の悩みの種がお金ということは、ロシアは資本主義国だということを表していると言える。ソ連時代に培われた「労働」に対する価値観が、資本主義的なものへと、人々の間で確実に変わってきているのかもしれない。



page top