フィナンソブイエ・イズベスチヤ 2007/06/27
北の首都ペテルブルグは観光地としての魅力が十分にあるのに、モスクワ同様、ホテル不足に直面している。様々な試算によると、客室不足は1日当たり3万〜8万室に上る。つまり、年間500万〜700万人もの観光客を失っている計算になる。
サンクトペテルブルグには、今年5月現在、341軒のホテルが営業し、客室数は約1万8200室である。この数は人口1000人あたりに換算すると、わずか7室で、欧州の観光都市が30〜40室もあるのに比べると、まだまだ少ない。
市はこのような状況の解消に取り組んでいるが、いまだ成功しているとは言えない。投資家やディベロッパーは、採算性の高い高級ホテル市場にまだ余剰があるため、四ツ星、五ツ星クラスのホテルを建設する傾向にある。外国資本になるとその傾向が顕著で、外資ホテルのほとんどが四ツ星以上のランクである。あるコンサルティング会社の調査によると、外資ホテルの客室稼働率は平均約75%で、ペテルブルグにあるホテル全体の60〜65%より高い。
ただし、ホテルを使う側の需要が高く、実際不足しているのは、三ツ星クラスのホテルである。しかし投資や開発をする者の立場からすれば、現時点ではいくら需要があるからとはいえ、三ツ星ホテルより高級ホテルを建てるほうがビジネスとして旨みがある。というのも、三ツ星ホテルは競争が激しく、採算性が比較的低いためである。事実、過去3年間、客室数100室以上の三ツ星ホテルは1軒も建設されていないのである。
また、業者が建設から実際の営業までに想定する期間と、建設許認可取得の為、各種手続き等々、管轄官公庁との掛け合いにかかる期間との間に大きな差がある。これでは投資開発をする側は思うような事業計画が立てられない。このような事情も、新しいホテルの開業を遅らせ、ひいてはホテル業界全体の客室不足に拍車をかける要因となっている。
とはいえ、今年中に新たに7軒の三ツ星クラスのホテルが建設される予定で、2008年にはさらに11軒のホテルが開業する予定である。専門家が指摘するように、ホテル産業は国際的観点から見ても利益率が高い産業とされている。ペテルブルグの魅力を持ってすれば更なる発展は望める。旅行業界全体をさらに伸ばすには、ホテル・ビジネスの効率性を高めることを含めた、市のインフラ整備が早急に望まれる。