論拠と事実紙 2007/8/1
今月始めからモスクワには、食品に遺伝子組み換え物質が使われているかどうか検査するため、15のラボが開設された。ここには自社製品の「純粋性」を確かめるため、業者がサンプルをもって訪れる。彼らは遺伝子組み換え物質が発見されることで、モスクワの国家機関や公共機関と取引ができなくなるのを恐れているのだ。(*)
「今日、我々のもとには100あまりのメーカーや卸関係者がやってきます」と、消費者市場サービス局のアナトリー・コチョトコフ副局長は述べる。「検査を依頼するメーカーの中には、食肉、乳製品、製パン業者、コーヒー会社などもいます。彼らは皆、モスクワ市当局の要望をうけて、自分たちの食品に遺伝子組み換え物質が含まれていないか検査を受けにきたのです」
遺伝子組み換え物質の摂取による影響は十分に解明されておらず、研究者からは疾病の原因となるかも知れないとの指摘もある。
かくして「GMO狩り」が開始されたものの、検査を指示した書類にはどのような食品をマークすべきか具体的な指標がなく、疑わしい食品のリストには遺伝子工学とは程遠い「水」まで含まれている。
とはいえ大手企業数社はあらかじめ保険をかけておくべく、自ら「遺伝子組み換え物質は含まれていません」と表記されたロゴの取得に動き出した。またチェーン店のオーナーたちも、安定した商取引関係の維持のため、ロゴを取得した商品を納入するよう指示している。
一見、このことに問題は何もないように思える……「値段」を除けば。専門家が最も控えめに見積もっても、自発的なり強制的なり、あらゆる商品に対して遺伝子組み換え物質の有無を検査することは、商品価格が15%値上がりすることにつながるという。
(*訳注) モスクワ市では独自の食品安全プログラムが講じられており、学校給食をはじめ、市が関わるすべての食料品納入にあたり、遺伝子組み換え食品が禁じられている。