フィナンソブイエ・イズベスチヤ 2007/07/10
老朽化したソビエト時代のホテルの閉鎖、取り壊し、改築により、モスクワ中心部ではホテルの客室が急激に不足している。その結果、モスクワのホテルは収益性において、欧州の主要観光都市の中で首位に立つに至った。好調な先行きを見越してモスクワ市は、2010年までに250のホテルを建設するという大規模建設計画を承認した。
Tri hospitality Consultingが行った調査結果によると、ヨーロッパの十大観光都市の中で、モスクワはホテル一室あたりの収益率が130.38ユーロを記録して首位に立った。ベルリンやパリといった都市の繁忙期であっても、収益率が3ケタに達してはいない(パリは約80ユーロ)。
ちなみにモスクワのホテルの稼働率は、2006年の66.7%から、2007年に70%(Colliers International調べ)にアップした。業界の古典的な国際基準によると、ホテルビジネスは稼働率70%の時にもっとも利益があがるのだという。また一方で、研究者はモスクワの現状の説明として、人件費や公共料金、そして減価償却にかかる支出が少ない事を上げている。例えば人件費の占める割合は、モスクワのホテルは20%だが、パリでは40%である。
2006年の時点で、モスクワのホテルは全ランク合わせて約180軒しかないのに対し、ロンドンには1000軒以上、パリには1500軒以上のホテルがある。
「我々は2010年までにホテルの客室数を2倍以上に拡大する予定です。248軒のホテル(9万8000部屋)を建設することで、モスクワのホテルは現在営業しているホテルを含めて、1日あたり18万〜20万人の訪問客・観光客を受け入れられるようになります。これはヨーロッパの基準(スタンダード)に適ったものです」
イズベスチヤ紙の取材に対しGAO(国営株式会社)「モスクワ」のアレクサンドル・ボチュロフ副支配人はこのように述べた上で、こうつづけた。「新しく建てられるホテルの4分の3は三ツ星クラスであり、付加サービスの質にあっても、ヨーロッパの基準にあわせたものです。モスクワを訪れる観光客は、2010年には320万〜1200万人に達するはずです。我々は観光収入を逸するわけには行きません。モスクワを数日訪れるだけの、さして裕福でない外国人観光客であっても、最低1000ドルを落としているのです。2007年4月に採択された、モスクワのホテル配置の全体計画によると、トベルスカヤ大通り近郊だけで、2010年までに(改装中の「ツェントラリナヤ」「ミンスク」を含め)12のホテルが新しくオープンする予定です。また3年後、市内中心部には124のホテル(客室数2万8000)が誕生する予定です」
無料で首都の夜を明かすには?
全世界で数十万の人が、旅行に際し、ホテルに泊まらずに夜を明かす事に慣れ親しんでいる。彼らは泊まる場所をインターネットの専門サイトで探すのである。
この種の情報サイトで最も人気のあるHospitality Club(www.hospitality.org)には、自分の生まれ育った町を観光客に紹介しようと、30万人の利用者が登録されている。彼らは客に寝る場所を提供するばかりではなく、至れり尽くせりの(しかも無料の)市内案内をかってでており、モスクワではこうした客好きな家主が2000人以上登録されている。部屋を選ぶにあたって面倒は生じない。住所を探してサイトで家主と連絡をとればよい。ただし、受け入れ側のコーディネーターの許可を受ける前に、自分で滞在登録をする必要がある。そのためには通常の「住所氏名電話番号」の他に、もう少し詳しく自分について説明することになる。似たような手続きは他のサイトでも取り扱っている(www.couchsurfing.com、www.stay4free.com、www.homeexchange.com)など。
こうした情報のほとんどは観光客によって利用されるものだが、例外として、面倒見のよい家主が、隣のブロックからの客を泊めたりすることもあるようだ。